かぐらぎのBlog

彼らの仕事

初めての面接時、私は皆に同じ質問をしました。
「日本に来て、辛い時や納得がいかない事があった時、貴方はどうしますか?」
ほとんどのフィリピン人はこう答えました。
「仕事なので我慢します。」
この時、私は絵に描いたような模範解答を皆が言うので
参考にはしていませんでした。
私の会社で働くフィリピン人の前職も実にバラエティーに富んでいます。
フィリピン実習生初採用の2名のうちの1人、ティルソは
造船所で、船のサビ取りの仕事をしていたそうです。
毎日、毎日、電動サンダーでサビを削る作業をしていました。
毎日、毎日、ずっとサンダー掛け。この仕事を1年続けたそうです。
ご存知の方もおられるでしょうが、電動サンダーを数時間続けると振動で
腕の感覚は麻痺し、握力はなくなります。
鉄粉、埃が飛び散るので防塵マスクをするのですが、息苦しくなってきます。
彼はこの仕事の契約延長を勝ち取り、1年続けたのです。
「仕事を辞めたり、変えようとは思わなかったのか?」
「辞めたかったです。でも、辞めたら仕事がありません。だから我慢しました。」
彼との会話の後、私は気が付きました。
「仕事だから我慢する」は、模範解答で答えたのではないのか?という事。
そしてもう一つ。
正直、鬱陶しく感じていた路上の物売りも、この国では
彼らにとって数少ないチャンスの中で手に入れた仕事なのだという事。

口数は少ないけど、実はとっても明るく頑張り屋さんのティルソ